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撮影裏話/寅/その2 [寅]

約3日後の、再び晴れた朝。早朝の光はまぶしすぎることが前回で判明したので、今回は少し時間をずらせる。

2度目はネガフイルム4本持って出発。
竹林はもう勝手知ったるである。傾斜を走るのにもずいぶん慣れた。
カメラマンはスタイリストも兼ねているので、衣装の裾を整えたりして、カメラとモデルの間を往復し、カメラの位置を変えて動き回っているから、いい運動量で身体もほこほこしているのだが、モデルはそうはいかない。風通しの良い広幅の着物風ドレスに薄手の打ち掛け姿である。時は師走。

「衣装つけた時って、不思議と暑さ寒さ、重さなんかを感じないよね、そのキャラクターになりきってしまえば」などと、無責任発言するカメラマンにうらめしげ〜な視線を飛ばしながら、けなげにポーズをとるのであった。

「ギギンガー」というのが、この衣装の愛称である。怪獣ものにでてくるキャラクターのようだ。本来は竹虎姫という、風雅な格調のあるものであったはずなのだが、宇宙を意識した金色系のメイクをするうちに、なんだかこんな命名になってしまった。物事は真面目ばかりではつまらないのである。

「ギギンガー、もうちょっと右向いて」
「ギギンガー、一本向こうの竹に移動してみようか」

撮影は順調に進む。


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