SSブログ

撮影裏話/卯/その2 [卯]

2度目の撮影は12月に入っていた。言わずもがな、前より厳しい海風地獄である。さらにこの日は空模様もあやしかった。天気予報は毎度しっかり確認してはくるのだが、自然は気まぐれである。10時頃についたものの、太陽待ちでしばらく車内で過ごす。目の前には喫茶店があり、入りたいのはヤマヤマであるが、髪も化粧もセットして待機しているのである。陽がいつでるか分からない、コーヒーを注文したとたんに陽が射してきた、というのでは困るのである。

喫茶店をにらみつつ、やく2時間。雲はまだたれこめてはいたものの、白さが増してくる。海の波も、前回より泡立ちが良いような感じで(?)、雲、波、ドレスとともにベストバランスである。

「今だっ」

カメラマン、モデル、共に走る。しかし、今回は前回の反省を踏まえ、撮影位置の周りでは足跡をできるだけつけないよう、忍者でいうところの「兎歩の術」よろしく、ぬき足、さし足、しのび足。。。ドレスの裾も螺旋状にしっかりと固定して、いざ、撮影。

風の具合もちょうど良かった。

「いいね、いいねっ」

ノリノリでシャッターをきり続けるカメラマン。

「夢の中で、憧れの島に渡ってきた兎の精がああ、あっちの島から渡ってきたんだわ〜みたいな、、、そうそうっ、その感じ、その感じ、、あああれっ?」

カメラマンの声がひきつる。カメラマンの異様な様子にモデルが眉根をよせる。

「黒いものが。。。」
「なにって?」
「ブイかな。。でもちょっと。。。ええ〜?」

波間に漂う黒い丸いもの。。。よくよく目を凝らすと、それは人の頭。
どこから来たのか、突如フレームの右端に現れ、浜をめざして移動して来る。よく見るとサーフボードらしきものを持っているようだ。

「早く撮ってよう〜っ、寒いよう〜っ」
「いや、でもちょっとダイバーが、ダイバーがっ(本当はサーファーだろうが、この時はうわごとのようにダイバーと連発していた)」

この間、モデルは後ろを振りむけない状態なのである。なぜって?振りむくとドレスの裾の螺旋が乱れ、カメラマンの怒りの罵声が飛ぶからである。

寒風は吹きすさぶ。

「ざぶいようううううう~っ」

兎の精霊が寒風に負けじと叫ぶ。ようやくダイバー、ゆるゆると浜にあがり、サーフボードをかかえてフレームの枠外へ。
File0068.jpg
「えーっと、ちょっと前のポーズから、はいっ」
「ダイバーのばかやろううううううーっ」



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

衣装コンセプト・卯白兎神社 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。