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魔除けの猿 [申]

類人猿とも言われるように、猿は人に一番近い動物である。
日光東照宮の三猿に代表されるように猿の行動様式は他の動物に比べて人間に相当近いように位置づけされる。猿は「去る」に通じるということから「勝る、優る、魔去る(まさる)」につうじる「ましら」と呼ばれることもある。

猿は魔除けの象徴とされ、鬼門封じにも活躍する。京都の東山に赤山禅院という比叡山延暦寺の別院がある。祭神は泰山府君、陰陽道の寺である。泰山府君はスサノオ、三輪明神、牛頭天王、福禄寿などと同一視される、北極星を象徴する陰陽道の祖神である。入り口には鳥居が建っていたりするので、寺なのか神社なのか、なんだか分からないところに、日本における神道・仏教・密教・禅・修験道・陰陽道その他もろもろの習合が現れているようで面白い。
この別院は平安京から見た東北・鬼門を封じるために置かれたという。地理的には平安京から比叡山に向かって引いた線上に位置する。

赤山禅院の屋根の上に駕篭に入れられた猿の像がある。魔除けの猿が逃げ出さないように駕篭に入れられているらしい。

一方、比叡山を大津側に下りた坂本に日吉神社がある。
祭神は、もともと「日枝山(ひえのやま=今の比叡山)の山の神であった大山咋神と、大和三諸山から勧請してきた大三輪神(大物主神)である。その後、比叡山延暦寺の天台宗の本家に当たる中国の天台山の地主神である「山王弼真君」にちなみ。この両神を「山王」と呼ぶに至った。全国に見られる日吉神社。日枝神社、山王神社はここから発生していったものである。

この神の使いが猿なのである。いわゆる「猿信仰」というものらしい。
今近畿で猿の有名どころと言えば大阪の箕面の猿が有名であるが、きっと昔は比叡山にも猿が縄張りをもって悠々と暮らしていたのだろう。

猿はまた馬の病気を治す守護神であるとされ、昔は正月の門付に猿回しが厄を祓って歩く光景がよくみられたとか。

鬼門を封じる、魔を払うという役所をあたえられたからこそ、猿は鬼退治で大活躍する。桃太郎の一番家来である猿は、そういうことである。ちなみに家来三人衆、猿・鳥(キジ)・犬は、十二支を方角で示した図では丑寅(うしとら・鬼門)の対局にいる。とても良く出来た配置である。
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