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ウサギのキャラクター [卯]

紳士淑女の国、イギリスのキャラクター、ピーターラビット。姉のフロプシー、モプシとともに、お母さん兎がきちんと目配りしているにもかかわらず、次々とやんちゃな事件を起こすピーターは永遠のウサギワールドのヒーローである。

同じくイギリスの作家、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」に登場する兎もなかなかの人気者である。

ウサギワールドの西の横綱がピーターなら、東の横綱はうさこちゃんである。オランダの絵本作家、ディック・ブルーナによって生まれたウサギのキャラクターは、もともとはナインチェという名前だったのが、日本上陸の際には「うさこちゃん」となり、近年では「ミッフィー」として親しまれている。お母さん世代は「うさこちゃん」、子どもは「ミッフィー」なんだそうである。

「不思議な国のアリス」に登場するウサギもなかなかの人気キャラクターだ。

バックスバニー、ロジャーラビット、アメリカ生まれのキャラクターも負けてはいない。日本生まれのウサギのキャラクターは。。。最近ではNOVAうさぎかな、やっぱり。


ピーターラビットの絵本  第1集 (ピーターラビットの絵本)

ピーターラビットの絵本 第1集 (ピーターラビットの絵本)

  • 作者: ビアトリクス・ポター
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2002/09/21
  • メディア: 単行本



不思議の国のアリス・オリジナル(全2巻)

不思議の国のアリス・オリジナル(全2巻)

  • 作者: ルイス・キャロル
  • 出版社/メーカー: 書籍情報社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本



ちいさなうさこちゃん (子どもがはじめてであう絵本)

ちいさなうさこちゃん (子どもがはじめてであう絵本)

  • 作者: ディック ブルーナ
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2000
  • メディア: -



しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

しろいうさぎとくろいうさぎ (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

  • 作者: ガース・ウイリアムズ
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1965/06
  • メディア: -



卯月 [卯]

卯の花の匂う垣根に ホトトギスはやも来鳴きて   
   忍び音もらす 夏は来ぬ

卯の花というのは、5月から6月にかけて咲く、白い空木(ウツギ)の花のことである。卯の花の咲く頃が卯月であるらしい。寅の項で、寅は旧暦一月と書いたが、順にいくと卯は旧暦二月である。現在の暦では卯月は四月。旧暦と新暦は約一ヶ月から一ヶ月半ずれる。だから、旧暦の卯月の二月はちょっと早倒しの現在の4月にあたるのだろうか。ホトトギスと言えば梅の花とともに早春のイメージがあるので、一気に夏が来ぬとこられると少し気が早い気もするのだが。。。

また卯の花はおからの別称でもある。豆腐を作る時に、大豆から豆乳をしぼった残りかすがおからで、食物繊維を多く含んで健康食品なのだが、近頃はあまりお目にかからない気がする。よく母がひじきや人参などと一緒に煮込んで出してくれたが、子どもの頃は、あのたよりない食感がなんとなく苦手だった。久しぶりにリクエストでもしてみようかな。


ドライブの楽しみ/国道9号線 [卯]

京都から白兎海岸までの9号線。福知山から岩美の海岸線に出るまでの山中には、海産物のお店がちらほら見受けられる。香美町に大きな海鮮市場があって、ここへは必ず寄る。季節がら、カニが目玉商品で、これでもかというくらい積み上げてある。試食の茹でガニの足を食べながら、海産物や新鮮野菜を見てまわるのはとても楽しい。

この市場の敷地内に小さなお寿司屋さんがあった。はっきりとは覚えていないが「流れる回転寿し」とかなんとか書いてあって、「流れるってなんだろう」、「こういう海鮮市場に隣接するお寿司屋さんは結構穴場かも」と期待を胸に入ってみると。。。

店内に入ると、コの字型のカウンターがあり、正面は調理場である。カウンター周りの椅子は全部で10個くらい、人が座ったら店一杯という感じである。コの字型のカウンターの内側に、幅20センチくらいのステンレス製の溝が沿っており、そこに水が一方方向に流れている。そしてほぼ溝はば一杯の木製の桶が、ところどころ渋滞を起こして、ぷかぷかと水流に乗って流れているのである。

「流れる寿司ってこういうことか」

まずは席に座り、マグロとタコを注文する。調理場のおじさんに注文すると桶にのって流れて来るというわけである。なんたって海鮮市場に隣接、さぞやネタは。。。
ぷかぷかと桶がやって来る。桶の中には、小皿の上にのった2カンのタコ。。。タコ?

びっくりした。こういうのを超絶技巧というのだろう。。。。薄い、つまみ上げると生タコなので本当に向こうが透けそうな感じだ。どういう包丁で切ったらこんなに薄く切れるんだろう。おもわずカメラマンとモデル、二人で顔を見合わせる。

次にぷかぷかとやってきたマグロもしかり。100円寿司でもこんなに薄くはないぞ。
海鮮市場に隣接というのは全然関係ないのか?シロウトが三枚におろしたマグロの骨の脇を削ぎ直したって、もうすこし厚く削げそうなものである。

店の中には、あと二組のお客さんがいた。男女中年カップルと子どもをつれた家族連れ4人。信じられないことに、それぞれの前には小皿がうずたかく積まれている。
もしかしたら、これは新鮮のあまり価値がありすぎて薄切りなのかも知れない。。。しかし。。。だが。。。

マグロとタコで私たちは店を後にした。後にも先にもあのような薄切りのネタも、そして桶で流れて来る寿司もみたことがない。こわいものみたさでもう一度行ってみたい気もするが、その後、同じ道を通った時、その寿司屋はなくなっていたので、ちょっと残念。

また、この国道沿いには湯村温泉がある。夢千代日記で有名な温泉だ。街のなかには夢千代の銅像もたっている。なんてったって日本は温泉大国。ドライブに温泉セットは欠かせないね。1度目の時にチェックしていたので、2度目には水着持参でリフレッシュパークゆむらへ。結構楽しめます。
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白兎神社 [卯]

一度目も、二度目も敬意を表して海岸のすぐ近くにある白兎神社にお参りをした。
白兎神社の祭神はもちろん大国主命に助けられた白兎。。。この白兎は豊玉姫のことで、皮膚病、やけどにご利益があるとか。境内には兎が身体をあらったといわれる池もあります。それにしても豊玉姫って、大ワダツミという海神の娘ではなかったっけ? お産をするときに見ちゃいけないと言われていた夫が覗いたら本来のワニの姿でお産をしていたとかいう。。。それならば白兎というよりはワニの方の神様であるような気もするのだが。。。?ちなみにこの豊玉姫は初代天皇・神武天皇のおばあさんである。

撮影裏話/卯/その2 [卯]

2度目の撮影は12月に入っていた。言わずもがな、前より厳しい海風地獄である。さらにこの日は空模様もあやしかった。天気予報は毎度しっかり確認してはくるのだが、自然は気まぐれである。10時頃についたものの、太陽待ちでしばらく車内で過ごす。目の前には喫茶店があり、入りたいのはヤマヤマであるが、髪も化粧もセットして待機しているのである。陽がいつでるか分からない、コーヒーを注文したとたんに陽が射してきた、というのでは困るのである。

喫茶店をにらみつつ、やく2時間。雲はまだたれこめてはいたものの、白さが増してくる。海の波も、前回より泡立ちが良いような感じで(?)、雲、波、ドレスとともにベストバランスである。

「今だっ」

カメラマン、モデル、共に走る。しかし、今回は前回の反省を踏まえ、撮影位置の周りでは足跡をできるだけつけないよう、忍者でいうところの「兎歩の術」よろしく、ぬき足、さし足、しのび足。。。ドレスの裾も螺旋状にしっかりと固定して、いざ、撮影。

風の具合もちょうど良かった。

「いいね、いいねっ」

ノリノリでシャッターをきり続けるカメラマン。

「夢の中で、憧れの島に渡ってきた兎の精がああ、あっちの島から渡ってきたんだわ〜みたいな、、、そうそうっ、その感じ、その感じ、、あああれっ?」

カメラマンの声がひきつる。カメラマンの異様な様子にモデルが眉根をよせる。

「黒いものが。。。」
「なにって?」
「ブイかな。。でもちょっと。。。ええ〜?」

波間に漂う黒い丸いもの。。。よくよく目を凝らすと、それは人の頭。
どこから来たのか、突如フレームの右端に現れ、浜をめざして移動して来る。よく見るとサーフボードらしきものを持っているようだ。

「早く撮ってよう〜っ、寒いよう〜っ」
「いや、でもちょっとダイバーが、ダイバーがっ(本当はサーファーだろうが、この時はうわごとのようにダイバーと連発していた)」

この間、モデルは後ろを振りむけない状態なのである。なぜって?振りむくとドレスの裾の螺旋が乱れ、カメラマンの怒りの罵声が飛ぶからである。

寒風は吹きすさぶ。

「ざぶいようううううう~っ」

兎の精霊が寒風に負けじと叫ぶ。ようやくダイバー、ゆるゆると浜にあがり、サーフボードをかかえてフレームの枠外へ。
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「えーっと、ちょっと前のポーズから、はいっ」
「ダイバーのばかやろううううううーっ」



衣装コンセプト・卯 [卯]

ウサギの衣装という時点で、すでにイメージは白兎であった。日本人がウサギに対して持っていた神秘性や純粋性を、白兎そのものというよりも、精霊のような感じでいこうと思った。ドレスはシルク、表面には透明に輝く星のようなビーズが螺旋状に無数に散りばめられている。螺旋という宇宙の神秘性と永続性の象徴のモチーフは私の好んで使うものである。
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撮影裏話/卯/その1 [卯]

化粧、髪のセットは車内で済ませ、いざ海岸へ。青空の下、白い波頭が目にまぶしい。波は想像していたより穏やかで、高さもほとんどない。波の向こうには小島が見える。頂上には小さな赤い鳥居。

「じゃ、あの島を兎のいた島だと思って、この海岸に来たい兎が、とりあえず無事についた姿を想像して喜んでいる。。。。ところを想像してポーズッ」

波頭の白と白兎の白が重なってちょうどいい感じである。空気の透明感も申し分ない。
しかし、さすが見晴らしがいいだけに、結構風がある。
薄衣が、髪が画面の中で落ち着かない。
ようやく風がおさまるかと思うと、モデルのポーズが決まらない。

「寒いんですけど〜」

寒風ふきっさらしの中で、初めはすこし遠慮深げに。。しかしだんだん積極的にモデルの目がつりあがってくる。近づくと小刻みにぷるぷると震えているではないか。
確かに。寅年の衣装の方がまだ温かかったかも知れない。(いえ、全然ましでしたっ!
まだ肩に布があったしっ!!! byモデル)

「赤むけにされたウサギはもっと寒かったと思うよ、がんばれっ」

羽毛入りダウンジャケットを着込んだカメラマンは、そういって励ますのであった。

さんざん寒い思いをして(モデルだけねっ byモデル)撮った写真であったが、現像した結果、再度撮影に行くことになってしまった。立ち位置の周りの砂の足跡がいやに目立つのと、ドレスの裾が風でふくれあがってしまっているのが気に入らなかったからである。


撮影・白兎海岸 [卯]

さて、越後兎に経緯を表して、11月の中旬、京都縦貫道を抜け、あとは国道9号線をひたすら走る。目的地まで約200キロ、6時間で到着予定。日帰りツアーである。なんといってもカメラマンもモデルも寄り道が大好き。道の駅とか海鮮市場とか、ふらふらとよってしまう。行きに穴場をチェックし、帰りに寄るというのがベストスケジュールだ。

出発は午前3時。目的があるといつもは熟睡している時間帯でもぱっちりと起きれてしまうから人間の間隔などゲンキンなものである。

11月の白兎海岸はとても寂しい。。。。夏は海水浴客でさぞ賑わしいことだろうが、この時期には人はだれもいない。きまぐれに走ったような車のタイヤ後が浜辺に続いているだけである。寅の項にも書いたように、撮影場所のポイントの一つは、人がいなさすぎず、寂しすぎず、である。海岸は国道9号線に面しているので見晴らしはいい。すこし離れて海産物のお店があるので、車の走行もそこそこある。場所はここに決定。


稲葉の白兎 [卯]

「稲羽の白兎」は出雲神話の代表的なお話である。対岸の島に渡ろうとしたウサギが計略を用いてワニ(古代日本においてはフカの意)をだまし、おこったワニに毛をむしられて赤剝けになって泣いていたところを、通りかかった大国主命に助けられるというものである。
単純に見えるこのお話の裏には、大和王朝と出雲王朝の確執だとか、ウサギとワニに象徴される部族の抗争だとか、探っていけばいくほどどろどろとした面白い謎にはまっていくのだが、それはまた別の機会として。。。

この白兎のお話を探っていく中で最も興味深かったのは、このウサギが白兎であるということであった。
このお話に出て来るウサギというのは越後兎という種らしい。日本在来の野兎で、秋田から日本海沿いに鳥取、島根まで分布しており、普段は茶褐色だが冬になると保護色のために白く毛が生え変わるという。耳の上に黒い斑点があるのが特徴で、高山寺の鳥獣戯画の兎もしっかりとこの斑点が描かれていることから、越後兎がモデルであるといわれている。 いわゆる白兎は江戸~明治に愛玩、また食肉用として輸入されたものだという。 ゆえに。稲羽の兎が白兎だったということは、この物語は晩秋から冬にかけての季節の物語であるということなのだそうだ。
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「鳥獣戯画」より ウサギの耳に注目!

またこのお話で白兎は大国主命に教えられてガマの穂綿にくるまって回復しているのだが、そもそもガマには止血の効果があるということである。決してガマの穂綿が兎の毛に似ているという単純な視覚的イメージで引用されている訳ではなく、このガマの下りは外科医療初の文献だそうである。
稲羽の白兎とは視覚と実用を伴う相当に奥の深い話なのである。

ちなみに、この大国主命とともに出雲の国作りをしたのが寅の項でも出てきた少彦名命。医療と農耕の神。大活躍である。

ロケ地探し/曽爾高原 [卯]

兎と言えば月、月と言えばお月見、お月見と言えばススキ。ということで、銀波に戯れるうさぎの図を思い描き、場所を探すことにした。秋も深まり、お月見の季節ともなれば、野原に自生するススキを見つけるのは、そう困難なことではない。桂川から淀川を下った高槻市付近の川原一体にもススキ群が自生している。川風に吹かれて波打つ穂並みはなかなか見応えがあるが、いかんせん、ここは「鵜殿の葦原」として有名なだけあって、ススキを圧倒するばかりの葦が大勢を占めており、葦に競うようにススキもやたら背が高いため、モデルがそばに立った時に穂の位置がかなり高くなってしまうのである。

ちなみにススキと葦はよく似ているように思うが、実は全く違う。穂だけ見たときの一番簡単な見分け方は、ススキの穂並みは銀波に見えるが、葦の穂並みは銀波にはみえない。マットな茶色である。そして葉のつき方がちがう。ススキの葉は株全体を包むように下から上へ長い葉がぴゅっとするどく伸びている感があるが、葦は節毎にぴっぴっと互いに一つ一つの節の当番をするようなかたちでついている。ススキにも節があるのだが、わりと穂からの第一関節までが長く、ぱっと見には節があるようには見えない。ようやく節がある根元に行く程、下から生えてくる葉がどんどん重なってくる。一節一節に葉がついているか、なんて確認する前に手が切れてしまいそうな密集度である。ちなみに葦の葉も手は切れる。採集する時には手袋は必需品である。
植物学的にはもっと詳しい見分けがあるのだろうが、私的にはこの見方で今までススキと葦を採りまちがえたことがないので、ススキと葦の違いのポイントはここまでにする。

ということで、葦に邪魔されないススキ原を探した。画面を引きで撮ることも考えて、なるべく広いススキ原を探したところ。。。

曽爾高原 かぎろいで有名な阿騎野のある奈良県宇陀市の東端にある高原である

1998年11月上旬快晴、369号線を一気に曽爾へ。

眼前を一面の銀波がおおった。
見渡す限りのススキ原である。夕暮れ時には夕陽で銀波が黄金色に染まるそうである。

しかし。

さすが名所なだけあって、観光人の多さも格別である。
それに、ここまで来て感じたことは、ススキの近くで撮っても、結局穂は目立たないということであった。鵜殿のススキほど高くはないとしても、銀波を背景にモデルを立たせようとすると、足場を組むか、ススキ原を引きにして遠くに銀波を入れる選択になるのである。私のイメージとしてはモデルのすぐ後ろに密集した穂波を入れたかったのだが、蓮華畑と同じで、アップになると穂と穂の間隔は意外とある。

銀の穂に戯れるうさぎを撮ろうとすると、これはもうススキを切り集めて、特設の台にでもつめて植込む装置でも作らなければ無理だな。。。という感想に至った。

そして新たな候補地探しとなるのである。
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雪月花の兎 [卯]

さて、「雪月花」という、美しい言葉がある。
雪・月・花のそれぞれの自然の美しさをあらわす語で、雪月花というひとつのまとまりとして歌にも詠まれ、文学や工芸意匠に愛用され、店や商品の名前にもなり、宝塚の組の名前もここからきているという。

さて、兎はこの雪月花に見事に対応する。雪兎、月兎、花兎という風流な意匠は伝統工芸、伝統美術のそこここに登場する。

そんな動物が他にいるだろうか?いまのところ、ちょっと思いつかない。
日本人が昔から持つ兎への可憐で神秘的なイメージがそうさせたのだろう。

月と兎 [卯]

インドの仏教説話/ジャータカ物語に月と兎に関するお話がのっている。
概要はこうである。

昔々兎と狐と猿が仲良く一緒に暮らしていた。3匹がいつも話し合うことには、前世の行いが悪かったために、今こうして獣の姿に生まれてしまったのだから、今度は一生懸命修行して善業を行おうね、と。

そこへひとりのおじいさんがやってきた。おじいさんは足もとはふらつき、恰好もぼろぼろでとてもお腹をすかせていた。
3匹はおじいさんをにごちそうしようと、それぞれ食べ物を探しにいった。
猿は木に登って木の実をどっさり、狐は川で魚をとってもちかえってきた。
ところが、兎は八方駆け回って探したが、なんにも見つけられない。とぼとぼと帰ると、待っていたおじいさんが「おやおやうさぎさん、さるさんは美味しい木の実をたくさん穫ってきてくれましたよ、きつねさんは魚をどっさりくれましたよ。あなたは何をごちそうしてくれるんですか?」ときいた。うさぎは泣きそうな顔になりながら、それでもおじいさんに、いますぐごちそうをさしあげますから、どうぞ火を起こしてください、と頼んだ。たき火の火が程よく炎を上げた時、うさぎは「おじいさん、わたしは何も穫ってくることができませんでした、だから、どうぞ私を食べてください」といって、さるときつねがあっという間もなく、火の中に飛び込んでしまった。

おじいさんは実は帝釈天というえらい神様で、3匹の様子を天からご覧になって、ひとつ試してやろうと、下界に下りてこられたのだった。
うさぎの心根に心うたれた帝釈天はこのけなげな姿を永久にとどめるために、たき火の中のうさぎを月の表にお移しになったということである。

。。。。このお話を始めに読んだのは小学校の頃であった。少年少女向きの世界文学全集の中の一話だったように思う。たしか「インドのおはなし」という簡単な紹介で、そのときは仏教説話だとか、帝釈天とか、そういう難しい言葉はのっておらず、目を押さえて火の中に飛び込む挿絵のうさぎの姿が、とにかく可哀想だと思ったのを覚えている。

その後、猛烈にこのおじいさんに腹が立った。えらい神様ならわざわざ試さなくたって、神通力でそれぞれの心根くらい見えないのか。死んじゃったうさぎが可哀想じゃないか。神様はうさぎが焼け死ぬことを知っていたのか。えらい神様ならうさぎを生き返らせてやってくれ〜!

。。。ということで、兎は月の表面に姿のみえる栄光に浴しているのである。。。

。。。ということは、あの月に見えている兎の姿は丸焦げのうさぎか。。。

。。。丸焦げのうさぎが餅をついているのか?。。。。。

。。。そもそもどうしてうさぎは餅をつくのか?。。。。

。。。餅つきうさぎ。。。もちつき。。。望月。。。満月。。。


法隆寺の天寿国曼荼羅繍帳に、月が描かれ、中にうさぎと薬つぼ、それから桂の木が描かれている。桂の木はひとまず置いておくとして、月と兎、そして薬つぼの関係である。うさぎはまた、仏教の天部十二天の一人、月天の使者であるという。
ちなみに月天は勢至菩薩の化身であり、日光菩薩とともに薬師如来の脇侍である月光菩薩とは別物であるが、いずれも薬との関連は深そうである。

はじめはうさぎも杵で薬をついていたらしいが、それが日本へわたるにつけて、望月(もちづき)と音がまじって餅つきうさぎが定着したようである。

私は単純に丸めた餅の形と満月が似ているからだと思っていたのだが。。。


フランスのウサギ [卯]

昨年滞在していたパリでは、ごく普通のスーパーでも食肉コーナーで兎肉が売られていた。赤むけ状態のその姿にはもはや「うさぎちゃん」のイメージは無く、同じく羽をむしられた赤むけのニワトリと並んでいると、体長といい、形状といい、両者はそっくりで、ウサギの数え方が「一羽、二羽」なのが納得できた。

レストランでメニューとして食べるならともかく、兎の肉を調理するのは日本人にはちょっと勇気がいるのではないだろうか。

パリの空港の草地では大繁殖し、駆除の対象になったとか。旺盛な繁殖力のせいで、セックスの象徴動物でもあるらしい。

写真はモンマルトルにあるAU LAPIN AGILE(ラパンアジール=ぴょんぴょんウサギ)という名のシャンソニエ。若き日のピカソやユトリロ、モディリアニが通ってワイン片手に芸術の話に花を咲かせたとか。二枚目の写真の2回の壁の右側にお鍋から飛び出そうとしているウサギが描かれているんですが、ちょっと見えにくい。。。残念。
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卯/兎のイメージ [卯]

1. 稲葉の白兎
1. 鳥獣戯画の兎
1. 雪兎 
1. 月見の餅つきうさぎ

子どもの頃は「うさぎさん」というのは人気の高いキャラクターで、幼稚園や小学校にも兎小屋があったし、動物園のふれあいコーナーでももっとも身近にさわれる動物の一つである。

長い耳に赤い目の兎は(赤くない場合も多いが)とにかく可愛い対象であるらしく、私の妹も小さい時に「わたしはかわいいうさぎちゃん」などと自称しているテープが残っている。この後、両親が(聞かなくてもいいのに)「じゃあ、おねいちゃんは?」と聞いたところ、「おねいちゃんはブタちゃん」と続く。「どうしておねいちゃんはブタなの」「だってブタだもん~」。。。どうやらウサギとブタは彼女のなかで最高位と最下位の動物の象徴であったらしい。日頃の様子から考えて、「ブタ」が褒め言葉であったとは考えにくいからである。彼女は推定4歳くらいであった。いまさら怒っても始まるまい。

カチカチ山に登場する兎も、人間の見方である。稲葉の白兎も人間とは友好関係にある。イソップ童話にの「兎とカメ」にみられるようなぐうたらさは、日本ではちょっと見受けられないような気がする。兎は日本ではウケのよい動物であるようだ。


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