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ヘビの敵役の神格化 [巳]

孔雀明王という密教の明王部の仏がいる。羽を広げた孔雀にのっている姿が一般的にしられている。広げた孔雀の羽はゴージャスで神秘的、それゆえに仏の乗り物として栄誉ある役割を与えられたものだと思っていたのだが、じつは他に理由があった。
咬まれれば致死に至る猛毒を持つコブラを、孔雀は食べてしまうのである。毒が人間に内在する毒(煩悩)に転化し、その煩悩を食べてくれるということで、孔雀は神格化された。
インドネシアの国営航空会社、ガルーダ・インドネシア航空の名前にもなっているガルーダは、ヘビや龍を退治するインド神話に出て来る聖鳥である。東南アジアを中心にガルーダがヘビを踏んづけている像が建物のあちらこちらに施されていたり、紋章に使われたりしているのが見かけられる。

日本でおなじみなのは、このガルーダが仏教に習合された後の迦楼羅(カルラ=金翅鳥)で、仏法の守護をする八部衆(興福寺など)や千手観音の脇侍である二十八部衆(三十三間堂など)に、その名が見られる。また不動明王の背負う炎を迦楼羅炎といい、これは迦楼羅の吐く炎で、煩悩、悪行の一切を焼き尽くすといわれている。

これらの発端はヘビを倒すということである。
ヘビを倒すというのはすごいことなのである。

ヘビは古今東西、原始の信仰の対象であったといわれる。インドにおいても中国においても、国の始まりはヘビと密接に関わっている。それほど信仰されていたにもかかわらず、あえて悪魔的イメージが伴うのは、蛇神信仰というアニミズム的原始宗教に対して、後から起こった体系的な宗教により、その存在が強力に貶められてしまったという経緯があったりするようである。アダムとイブに登場するヘビなどもその一例であろう。歴史においても強力な者が敗者となった時には、とことん悪の代名詞となる。例えば蘇我入鹿、吉良上野介、井伊直弼。。。彼らは悪名高きヒールたちであるが、資料を見ると実は人徳があったり、偉業があったりするが、それらは正史の上では勝者によって抹殺されてしまっているのである。強力な者である故の落魄。。。ヘビもまた彼らの仲間なのかもしれない。


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