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ヘビの面目躍如 [巳]

さて、実はヘビの長所をじっくりと時間をかけて探す手間はいらない。長所どころか、へびは実に堂々と尊敬の対象となっているのである。

日本全国の神社にかならずかけられているしめ縄、伊勢の二見が浦の夫婦岩にかかっている巨大なしめ縄から、お正月にかけるしめ飾りまで、あの形はそのままヘビの交尾の姿なのだ。私は実際に見たことはないが、ヘビの交尾というのは凄まじく盛んなものらしい。ぐるぐると絡み合った二匹のヘビは、くんずほぐれつ、山際を滑り落ちてもまだ飽きることなく交尾を続けるという。その精力旺盛さに、昔の人々は強力な子孫繁栄の象徴をみた。

日本の神道において、蛇は外すことのできない、むしろ大前提の存在である。古代、大和政権の中核をなすの大神神社に奉られるの大巳貴神(オオナムチノカミ)は蛇神であった。中国の神話の最初の皇帝である伏義とその妃である女禍は人面蛇身であり、またこの二人はイザナギ、イザナミのモデルになっているとも言われている。

ヘビの株、大幅上昇。さらにこの上昇に拍車をかけ、ヘビの面目躍如を完成させるための、他の12支とは全く異なる特性がある。

ヘビは脱皮する。

その姿に原始の人々は死と再生の循環をみた。ヘビが自分の尾を加えた図柄があるが、あれは生と死をシンボル化したデザインである。

「四神相応」。これは風水のひとつで、地相を判断する指標の一つで、四神とは東西南北を守護する霊獣、青龍、白虎、朱雀、玄武を指す。有名なものに高松塚やキトラ古墳の壁画などがある。玄武は死と再生の象徴である蛇と、「鶴は千年、亀は万年」の、長寿の象徴である亀との合体動物である。玄武は方角的には北を司る。北方を司るといえば、天空に浮かぶ北斗七星である。この星座もまた北天の守護神としての歴史を持つ。この北斗七星を形作る柄杓の受けの部分と柄の部分がそれぞれ亀と蛇を象っているという。北は四季でいえば冬にあたり、すべての終わりであり、始まりである象徴である。その2つの意味からも亀と蛇という2者で表しているのだといわれ、古人の祈りと願いの込められた聖なる意匠である。

生と死の象徴、脱皮後の皮を財布に入れるとお金が貯まるという。
中学校の理科室で先生に脱皮したヘビの皮をもらって、財布に入れて母に見せたところ、あやうくおこずかいを打ち切られそうになった。

母がヘビ嫌いだということをその直後に思い出した。


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